
黄金竜 幻想ファンタジー物語――それは深い森に眠る一族と、静かに輝き続ける竜にまつわる伝説だった。
深い霧に抱かれた太古の森には、一頭の黄金竜が眠っていた。
その鱗は陽光よりもなお眩く、風が葉を揺らすたびに光の粉が舞い散る。
竜が呼吸するたび、時の流れさえ緩やかに溶けるように見えた。
かつて、この森には竜と心を通わせる一族が存在した。
一族は森と竜の息づかいに耳を澄ませ、その力を授かり、人と自然を結び合わせていたという。
――だが、竜の輝きを妬み、その力を奪おうとする者たちが現れると、一族は霧に溶けるように姿を消した。
それはまるで最初から存在しなかったかのように、名も記録も、風にさらわれるがままに失われていった。
ただ一つ、黄金竜だけはその記憶と誓いを抱き、深い眠りに身を委ねる。
星々が巡り、無数の季節がめぐろうとも、その心は静かに目覚めのときを待ち続ける――
かつての一族に匹敵するほど純粋な光を持つ者が再び現れる、その夜明けを。
その時、森は息を吹き返し、黄金の風がささやくだろう。
「いざ、古き約束を果たさん」と――
黄金竜は光輝き、永き眠りから翔び立つのだ。
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