王女は私を見て微笑んでいる。
「ずいぶん大きくなったわね。」
彼女の声は、木々の間を流れる水のように聞こえる。
私は思わず彼女の背後の木を見上げてしまう。
枝がそよ風のように揺れている。
最後にここを見たのは何年前だっただろう。
あれから、いろいろなことが変わった。
自分自身の成長だけでなく 私の周りのものもすべて変わった。
もう、暗闇もモンスターも怖くない。
自活の仕方を知っている。
自炊ができるようになり、火を使わない料理も少しはできるようになった。本も読めるようになったから、新しいことを学ぶのに時間はかからない。
つまり、もう何もできなかったちっぽけな子供ではないということだ。
でも、ひとつだけ変わらないのは夢だ。
この上品な笑顔の美少女が、今も毎晩のように私の脳裏に浮かぶ。
寝ているときも、いつもそこにいる。
もし彼女がいたら、強くなれるかもしれない。
一緒に夢を叶えることができるかもしれない。